2025年におけるX-TOUCH ONEの性能、ファームウェアアップデート1.10、カスタムによる使いやすさをレビューしてみた
2025年におけるX-TOUCH ONEの性能、ファームウェアアップデート1.10、カスタムによる使いやすさをレビューしてみた
ベリンガーの1フェーダーフィジカルコントローラー「X-TOUCH ONE」の性能をチェックしていく過程を記事にしてみました
本体自体は2018年夏頃に登場している様子?(Amazon取扱日基準)
ここ最近フィジカルコントローラーは高額なもの以外リリースされておらず、それらも流行っているとは言えない状況
iPadがフィジカルコントローラーの代わりを果たしてしまう時代に必要あるのかも確認
ファームウェアアップデートは難易度高め
X-Touch OneをAMD Ryzenプロセッサーを搭載したWindows10環境で使用すると正常に認識しない
というバグが1.07までのファームウェアにあるようです
アップデートに必要なもの
・Ryzenを搭載していないWindows10 PCまたはApple M1チップを搭載していないMac
・MIDIダンプソフトウェア(WindowsではMIDI-OX(http://www.midiox.comよりMIDI-OX 7.0.2
(917K 17-JUN-10)を入手)、MacOSではSysex Librarianを推奨)
・X-Touch One用ファームウェアVer 1.10(こちらからダウンロードください)
※サイトの右にある「Product Library」より「Software」を選択し「X-TOUCH ONE Firmware Version 1.10」を選択
・USBケーブル
※本体に付属していないため別途用意
Ryzenの前にWindows10やM1ではないMacが必要というハードルの高さ
次にMIDIダンプソフトウェア「MIDI-OX」というアプリがWindows 95-XPあたりのものであること
※Sysex LibrarianはMシリーズではないMacがないため未検証
簡易的に手順を説明するとWindows10環境で最新のファームウェアファイルをDLしMIDI-OXを管理者権限でインストール
インストール完了したらX-TOUCH ONEをUSBにてPC/Macと接続した状態で、電源投入時に小さな右上のCHANNEL RECボタンを押し続ける
※X-TOUCH ONEには電源ボタンがないためACアダプタを繋いだらすぐONとなる
本体ディスプレイに「UP」と表示されたらMIDI-OXを管理者権限にて実行
MIDI DevicesでX-TOUCH ONEをMIDI Inputs、MIDI Outputsにてクリックして指定

※Windows音楽機材あるあるですがNEC製のUSB3チップではX-TOUCH ONEがうまく認識されませんでした
デバイスマネージャーを見る限りWindowsが提供するドライバがうまく働かないというアラートがでています
USB2端子に接続すると認識されました
X-TOUCH ONEはOS標準のドライバで動作するようになっているので特別なドライバインストールが必要りありません
View→SysEx View and Scratchpad→Command Window の Load Fileを選択しダウンロードしたファームウェアファイルを選択

システムエクスクルーシブが表示されたらComand WindowよりSend Sysexを選択

選択すると本体のディスプレイ右端に数字が現れカウントされていく

カウントが終了し無事ファームウェアアップデートされると「donE」とディスプレイ中央に表示

「donE」が表示されたら電源を再度入れると起動中に、ディスプレイにファームウェアのバージョンが表示
上記でアップデート完了となります
1フェーダーフィジコン
1フェーダーフィジコンの目的はリアルタイムボリュームオートメーションといっても過言ではありません
本機と比較されやすいのはICONのP1-Nanoというフェーダーフィジカルコントローラーではないでしょうか
P1-Nanoは自由なアサインができるパッドがついており一見便利そうなのですが、このパッドにアサインするためのアプリがあまりよろしくない動作をしているようです
また、フェーダー分解能が12bitという謳い文句ですが使用者の情報を見ていると0dBに止まらない、アバウトな動作など気になる点があります
X-TOUCH ONEは不安定という情報がなくフェーダーモーター自体の交換部品も出回っていることやジョグの堅牢性などから安心材料が多い印象です
フィジカルコントローラーとしての性能
検証はLogic Pro 11、X-TOUCH ONEの設定はMackie Control USERモードで行いました
USERモードではなぜかCHANNELボタンのみ反応しませんが他は問題なく動作し、F1-F6のアサインはLogic側のショートカットアサインで行うことができました
各種ポイントを押さえてみていきます
・フェーダー
フェーダーは滑らかかつ俊敏に動作し0.1dBごとに上げ下げできました
現状0.1dBという単位は一般的なDAWのボリュームフェーダーの最小値のため十分な性能です
おもちゃっぽい動作感というわけでもなく満足のいく仕上がりです
euconほど機敏に反応しませんが比較して気になるというほど遅くもありません
・Pan
Panはなんとサラウンド対応
サラウンドパン項目は矢印キー右左で変えることができました
どの項目を変えているかによってPanのLEDの光り方が異なります
これは予想外でとても便利そうです
・BPM/Time
BPM/Timeボタンで本体のLED表示部分を小節拍とするか秒数とするか選べます
・MASTER
MASTERボタンをオンにするとマスターフェーダーを操作できます
・CHANNEL
CHANNEL項目ではトラックのMUTE、SOLO、RECモードを制御可能
・F1-F6
F1-F6はモードによって自在にアサイン可能
・MAKER
MAKERがある状態でMAKERボタンを点灯させて早送り、巻き戻しボタンを押すとマーカーチェンジ
・NUGGE
NUGGEボタンを点灯させた状態で早送り、巻き戻しボタンを押すとナッジ値が変化
・TRANSPORT系
CYCLEはループオンオフ
REPLACEはオーバーラップオンオフ
CLICKはメトロノームオンオフ
SOLOは全トラック中選択トラックのみソロに
・上下矢印
上下矢印の上下は通常トラック選択として機能
右左はPanのパラメータ種類変更
上下矢印の中央ボタンを押すと上下で縦幅拡大縮小、左右で横幅拡大縮小
・ジョグ
ジョグはタイムラインの位置変更
SCRUBを押すとタイムラインにある波形やMIDIを再生しながら位置変更
ざっとこのような形です
Logicのショートカットアサインを見ている限りさらにいろいろなショートカットがあるようですが…
センドノブを動かしたかったのですが不明でした
Panは押し込むとデフォルトPan値に戻ります
※サラウンドではデフォルト値より若干ずれてしまう
カスタム
上記の機能によりあまり足りないものはありませんが、F1-F6に16分音符先に進む、戻るやディビジョン単位変更などをアサインしておくと便利
チョップ制作する人はタイムラインで分割をアサインしておくのがよいです
MC USERモードについてはこのモードを設定したあとF1-F6にアサインしたい動作を覚えさせ、そのあとLEDなどの輝度を設定して完了させるようです
なぜかLogicではLogicのショートカットキー変更画面でうまくいってしまったため、上記のアサインの仕方は試していません
また、F1-F6以外にも他のボタンに任意の機能をアサインできるようです
レビュー
iPadでもいろいろできますが0.1dB単位の細かい調整をしたいなら物理フィジカルコントローラーは必須
X-TOUCH ONEは触りたいボタンをぎゅっと濃縮させたコンパクトタイプなのでPCキーボードの横においても邪魔になりません
ジョグについてはすこし回しにくい印象ですがそこまで気になるレベルではありません
ジョグのサイズ感はとても良いです
本体自体は高クオリティで不満点はとても少ないです
セルフモーターフェーダー交換などメンテナンスがしやすいのも良いです
MCは反応が遅いイメージでしたが実用的な範囲での反応となり奇妙な動作もしません
euconが超高速ならX-TOUCH ONEは快適の位置付けでしょうか
価格でみるとコスパに優れていると感じます
この価格帯ではNo1なのではと思う機能
古さやフィジコンの人気のなさで中古出回りしている価格帯がおちてきており、いまや1万円を切ることも
便利さを価格に表すなら2万円-定価あたりは確実にあると思います
以上レビューとなります
検証はM4MAX Mac Studio SequoiaにてUSB HUB経由で接続して行いました
気になっている方にはおすすめしたい製品です!