MPE演奏に対応したORBAの音楽制作の仕方レビュー
ORBAとは
ORBAとはARTIPHONが制作発売した手に乗るほど小さい「MPE対応サンプラー」
コンセプトはどこでも演奏を楽しめ、ルーパー機能によりリード、コード、ベース、ドラムの4楽器を録音して一人でアンサンブルを楽しめるというもの(Orba2はスマホ録音(Orba3は本体のみで録音可能)したものを演奏可能)
小さな本体にはたくさんのギミックが搭載されています
ギミックとMIDIの関係
ORBAに搭載されている演奏表現のすべてにMIDI情報が設定されています
パッドをタップ | ノートオンオフ |
パッド上で指で左右に動かす | ピッチベンド |
パッドを押し込む | チャンネルプレッシャー |
パッドを押しながら内外に動かす | CC74(明るさ) |
ORBAを横に傾ける | CC1(モジュレーション) |
ORBAを持ち回転させる | CC112 |
ORBAを動かす | CC113 |
Pad8を押したままORBAを振る | ノート69とCC2 |
ORBAのサイドをタップ | ノート39 |
Aボタンをおしてモード変更 | プログラムチェンジ1-4 |
ギミックと人の動き
8音程あり、ギターフレットのような表現が少しある打楽器みたいに捉えると近いイメージです
ぱっと見パーカッション系に強そうに見えますがそれは間違いなし
ところが音程のある演奏も得意で素早いフレーズも得意で音色を色々変えながら演奏できます
特に8Padが円状に配置されていることでぐるぐるタッチしっぱなしでスライドするエフェクティブな演奏はORBAならではのサウンド
下記ORBAデモ曲で円状に回す奏法をたくさん使っていますのでご確認ください♪
MPEとしては
MPEとしてはピッチの可変が1つのPad内で少し発生する程度となっており、何音程も行き来できるMPEのグライドとは違います
ベースモードでは和音にならないようモノフォニック奏法となっています
リードモードでは和音が演奏できるようになっています
コードモードでは1Padに1コードが割り当てられて演奏できるようになっています
各種演奏においてMPEの特徴となるCC74、ピッチ(鍵盤を左右に動かす範囲)、アフタータッチが発生します
MPEの演奏において音程を跨ぐグライドを重視している場合は拍子抜けすることになります
また、12音階での演奏ができませんのでその点においてもMPEらしいフレーズ演奏の限界が垣間見えます
MPEよりもそれ以外の機能に注目
下記の機能はMPEの定義外の機能です
ORBAを横に傾ける | CC1(モジュレーション) |
ORBAを持ち回転させる | CC112 |
ORBAを動かす | CC113 |
Pad8を押したままORBAを振る | ノート69とCC2 |
ORBAのサイドをタップ | ノート39 |
これが非常に面白く表現に深みがでます
同時にそのコントロールも難しいため、あえてプラグインには特定のCCをアサインしないという方法もあり
なお、ORBA側では上記CCを別のCCナンバーに変更させることができません
ある種MPEを超えたパラメーターを扱えるMIDIコントローラーといえ、何かしら名称がついてもよいのではと思うほど
MIDIデータはすごいことになる
MPEの情報に加えてそれ以外の情報が終始飛んでくるためイベントリストはすごいことになります
多岐に渡るCCが飛びますが、音の発音はノート制御のみですので意外とMIIDI録音後の編集は簡単です
ORBAがこうなるとさらによい
現状では本体のスケール変更がメジャーとマイナーのみとなっていますしかもアプリ(Mac、iPhoneのどちらでも変更可能)でソングを作る際に設定できるようになっており、ORBAの設定項目にはありません※最新ファームウェアとアプリではアプリ内上部設定項目からいつでもスケール変更可能になっています
音楽制作を行う上では8つのPadにユーザーが任意の音程を割り当てできる機能が絶対に欲しいです
この機能さえつけば他にはないMIDIコントローラーとして人気になりそうです
その他、音楽制作向けという観点で12Pad版が出るとよいです
8Padではさすがに制作幅が限られてしまいます
ホビーユースだとしても8Padでは表現に限りがあり、偏った曲想しか作れないという問題がありそうです
まとめ
ORBAは本体に入っている音色を鳴らさないように設定し、完全なMPEコントローラーとして動作させることが可能です
多彩なコントロールができる反面、ノートを利用せずCCなどのみを利用したMIDIコントローラーとしてはあまり実用性がありませんでした
あくまで本体のPadで演奏することを含めMIDIコントロールすることが醍醐味
上記に記載したPad回転演奏はこの形だからこそできることですし、打楽器の入力も楽しく行えます
振る演奏でのシェイカー表現は素晴らしくMIDI鍵盤よりらしく演奏できます
ポテンシャルは高いですし昨年Orba3も発売されていることから、12Pad版の開発も期待したいところです!